« リキ物語 第5話 | トップページ | リキ物語 第7話  »

2008年9月 5日 (金)

リキ物語 第6話

 猫を育てたシェパード
 動物と動物が出会った時、最初から仲良くることもあります。何回会っても仲が悪く、必ずけんかになる犬同士がいます。動物の種類が異なる場合は時には、気の毒にもどちらかが、餌になる事もあるはずです。
 いちリキがまだ耳が立っていない子供のときでした。散歩の最中、ご近所の門から突然、大きな犬が飛び出して来ました。赤茶色のロングヘア、日本でよく飼われていたジャパンスピッツと日本犬の合の子のような犬でした。当時は、まだまだ放し飼いの犬もいて、ある意味では犬にとって幸せな時代だったのです。とっさの事で、リキを庇う事ができず、リキはひっくり返されお腹をがぶりとやられました。幸い少し血がにじむ程度ですみました。それから、1年ぐらいたった時のことです。赤茶色ロングヘア君が、家の前を通りかかりました。リキが子供の時は大きな犬と思いましたが、成犬になったシェパードから見れば、半分位の大きさです。誰かが帰って来て門を開けた瞬間でした。リキが突進しました。体当たりで相手がお腹を上にして転んだ瞬間、お腹をがぶりでした。子供の時にやられたことを覚えていて、仕返しをしたのです。これも幸い、大事にはいたらず、キャイン、キャイン、キャインと赤茶色ロングヘア君が逃げていきました。どのリキでも、同じですが、シェパードは犬を見れば飛びかかって行くような性格ではありません。いちリキは、妹のアンとはいつも激しいレスリングをして遊んでいました。アンは私のいとこの家に飼われていて、よく遊びに来るのです。わが家の庭にいつも入ってくる近所のビーグル君とも大の仲良しでした。相手が小さいとちゃんと気を使って、アンにするようなレスリングごっこはしません。山羊や、猫とも、適当な距離を保って平和でした。いまリキは、とっても仲のよいサクラもクロラブで、公園で会うクロラブ、ショコラとは普通で、一番仲の悪いご近所の犬もクロラブです。どちらかのリードが離れていると、取っ組み合いが始まります。すき、嫌いは単純に雄・雌では決まっていません。この関係は相手が人間の場合も同じです。犬でも猫でも、人間でも相手がリキの事を嫌いであったり、怖がったりするとリキの方も嫌いになります。きっと、嫌い嫌いアドレナリンが臭いの中に混じるのです。
 最近流行の、ペットショップで売っている、ぬいぐるみのような犬をつれたご夫人が、リキを見て血相を変えてご自分の犬を抱きかかえました。食べられたら大変とお考えになったようです。まず、嫌い嫌いアドレナリンがご夫人から分泌されます。その分泌物にぬいぐるみ君が反応して、また嫌い嫌いアドレナリンが分泌されます。その臭いに気がついたリキは、横を通り過ぎるとき、ジロとご夫人とぬいぐるみペット君を、にらみつけました。
 まだ、歩くのも大変な子犬をつれたご夫人がいました。リキが近づくと、子犬がニコニコ笑って、腹這いになりました。怖がらせてはいけないと、道路の端を通ろうとすると、ご夫人が「あのー、待っていたんですけど」。子犬君は、リキにとっても憧れていたそうです。リキが子犬の側へ行き、鼻チョンをしました。きっと好き好きホルモンが分泌されるのです。これで、この子犬とはいつまでもお友達になるはずです。
 隣のマルチーズ軍団とは、好き嫌いの関係ではなく、リキにとって大の苦手で、その仲でも一番小さい赤いリボンを付けた女の子が最も苦手です。いつも、ウェストハイランドホワイトテリアも混じっているような勇敢なお父ちゃんを先頭に6匹で6方向から突撃され、最後に赤リボンちゃんが、リキの後ろ足をがぶりとやります。赤リボンちゃんは小さくて、門や塀の隙間からすぐ出てくるのです。リキはエーと足をプルプルと降って急いで家に帰ります。赤リボンちゃんの大きさはリキの顔ぐらいのものです。ティラノザウルスに人間が挑戦しているようなもので、振り返ってひと噛みと心配しますが、そうはなりません。
 さて、にリキの時代のことです。冬の夕方、リキを連れて散歩に出ました。いつもの公園で、リキがなんかそわそわしてます。リードを離すと、さっとユキヤナギの茂みの中に入って行きました。なかなか出てきません。呼ぶと、驚いたことに、鼻で子猫を押しながら出てきました。子猫と言っても、中子猫です。捨て猫かなと思いましたが、それほど痩せてははいません。ご近所の迷い猫かなと思いつつ、リキが危害を加えなくて良かった良かったと、公園を一周して、再び猫さんのいたユキヤナギの茂みを通り、わが家の方向に向かいました。50メートルほど行った時、ふと振り向くと、中子猫君が付いてきました。人なつこい猫と思いましが、それは間違いで、犬なつこい猫だったのです。リキが振り返ると、ちょこちょこと走りよってきます。いつまでも付いて来ました。迷い猫で、寂しいのだろう、公園じゃ寒かろうと言う事になり、わが家へ連れて帰りました。お腹をすかせていたらしく、がつがつとご飯を食べました。タイガーもしょっちゅうよそ様のお家でご飯をいただいているようですが、必ず帰ってきます。飼い猫であればそのうち帰って行くだろうと言う事になり、クーガーのわが家での生活が始まりました。クーガーはアメリカンショートヘアのようです。
 わが家にはアジアのネコ科の猛獣タイガーがいましたから、アメリカ大陸のネコ科の猛獣、クーガーと名付けられたのです。クガーを飼っているのは、我々人間ではありません。リキです。リキがいつも側に付いていました。クーガーもリキからははなれません。リキにぴったりと密着して寝ます。リキはそのクーガーを大きな舌でべろべろなめます。子供のときのクーガーはいつも、リキのよだれでびしょびしょでした。クーガーはアメリカンショートヘアらしく、ずいぶん大きくなりました。大きくなっても、リキをお母さんのようにしたって離れません。いつも一緒に寝ていました。ちなみにリキはオス犬です。
 そのころ、隣の祖父母の家には、ドブと呼ばれるまたまた根性マッキキのオス猫が住んでいました。息子のトミーが関東の下宿を引き払って帰ってくるときに連れて来た猫です。元々は野良猫で、猫の大好きなトミーに餌をもらっていたそうです。苦労した末、現在の、飯の心配をしなくて良い地位をやっと勝ち取った猫でした。ドブと呼ばれているのはあまりに汚かったからです。顔はふてぶてしく、いかにも田舎やくざの親分でした。
 タイガーはもうその頃は生殖年齢を過ぎていました。タイガーを巡る争いだったのか、それとも単なる地位争いだったのかは判りませんが、ドブとクーガーのバトルが始まりました。それ以前も、ドブはご近所のオス猫と出入りを繰り返し、いつも眉間に大きな刀傷を付けていました。ドブの意識の中では、わが家も彼の縄張りであったようです。どんどん、大きくなり、精悍そうに見えるアメリカンショートヘアのハンサム若侍に、将来きっと自分の地位を脅かされるに違いないと思ったのでしょう。捨て身の攻撃をかけてきました。
 ある日、とうとうクーガーの姿を見なくなりました。1週ぐらい後、庭でちらっとクーガーが走っているのを見ましたがそれが最後でした。元の飼い主のところへ戻ったのかもしれません。好奇心旺盛の、人なつっこい、そして犬なつっこい猫でしたから、どこかで新しい生活を始めたのかもしれません。
 それから半年後、わが家から数百メートルのところをリキと散歩をしていると、大きな黒っぽい虎猫がリキに体当たりをして走って行きました。夜だったのでよく見えなかったのですが、シェパードに体当たりをする猫、そうざらにはいないはずです。彼らの友情はずっとつづいていて、夜など遊びに来ていたのかもしれません。

« リキ物語 第5話 | トップページ | リキ物語 第7話  »

コメント

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/502600/42387165

この記事へのトラックバック一覧です: リキ物語 第6話:

« リキ物語 第5話 | トップページ | リキ物語 第7話  »