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2008年9月 5日 (金)

 リキ物語 第12話 リキの朝食

 リキの朝食

 今リキも、もうじき8歳になります。人間で言えば、もうじき60歳ぐらいでしょうか、生物学的年齢は今の私とほぼ同じです。公園を少し走った時など、二人そろってぜーぜーはーはー、目を合わせてしまいました。長年つきあっていると、お互いに会話は完全に成立しています。この時の目は、「アーしんど、もうやめよか」と言いました。リキが私と散歩に行きたい時は、まず2階のタンスの前で、人の顔を見ます。その中にジーパンが入っているのを良く知っているからです。私がジーパンを身につけると、作戦は半分成功ですから、階段を飛び降りて行きます。犬の臭覚も聴覚も人間よりはるかに優れていますから、リキが1階の離れたところにいて、私が2階でジーパンに履き替えた場合でも、リキは飛んでやってきます。ジーパンの染料であるインディゴの臭いに反応しているのか、ジーパンが擦れて出る音に反応しているのかは定かではありません。ちなみに、私がスーツを着、ネクタイを締めてもリキは決して飛んでは来ません。せいぜい、階段の下で、うさんくさそうに上を眺めているだけです。幸子を散歩に誘う時は、もっともっと積極的に攻勢をかけます。まず、手をあま噛みしてトイレの前に連れて行きます。メスはお出かけ前にはトイレに行かねばならない事を完全に理解している行動です。そして、軍手の入った引き出しの前で飛び跳ね、次に排泄物収容用のビニール袋の入った引き出しへ行ってワン、靴箱へ行って、人間より先に靴箱に顔を突っ込み、なぜか靴を出さずにスリッパをくわえて走り回ります。軍手の引き出しや靴箱は、場所もでしょうが臭いで記憶しているのかもしれません。犬族の会話や思考は言葉だけではなく臭覚も関与しているようで、臭覚の記憶の組み合わせでストリーが理解できるそうです。あの臭いがあって、この臭いがあって、あれとこれが混じって、ああそうか。臭いの夢を見ているかもしれません。別々に行動していた家族が会ったとき、臭いを嗅ぎ回り、そうかそうか、あそこへ行って、どこどこへ寄って、誰と会って、何をした、臭いで相手の行動のストーリーが完全に判るそうです。女房が犬族でなくってよかったよかった。

 さて、犬の食事ですが、ドッグフードが出回ったのは比較的最近の事です。わが家の犬族の食事、昔は残飯でした。父が入院施設のある医院をやっていたので、残飯はたくさんありました。ただセントバーナードのイチだけは体重が80kg近くありましたから、残飯だけでは足らず、近所のスーパーに頼んで鳥の頭をわけてもらっていました。今は工場でやっているのでしょうが、昔はスーパーの裏で鶏肉を解体していたようです。それを台所で大きな鍋でぐつぐつやります。トサカもクチバシもついているので、知らない人が見たら、ゾーとする光景だったに違いありません。大型犬の体重は大きな人間と変わりはありませんが、わずか1年でそこまで成長するわけですから、大型犬の子犬の食事はとっても重要です。鳥の頭がよかったのか、セントバーナードのイチは、立派な犬になり、時々テレビのコマーシャルに出ていました。少し年月が経ち、わが家に最初のリキが来た頃、犬の食事はすっかりドッグフードと決まったようです。シェパードの食事は、普通は一日一回で、7カップぐらいは平らげます。朝は、サービスで牛乳とドックフード少々。もし、犬が人間の言葉を話せたら、ドッグフードはたちまち売れなくなるだろうと言われます。つまり、おいしくないのです。でも、犬族はおいしくなくても、結局は食べるので、ドッグフードは栄養だけを考えて生産されているそうです。キャットフードは、そうとは行かず、おいしくないものは、ネコマタギになりますから、キャットフードの生産者は猫を100匹飼っていて、何%の猫が食べたのかというデータをもとに、新しいキャットフードの開発をするそうです。わが家にタイガーがいるころ、タイガーの食べ残しをリキがおいしそうに食べていました。

 さて、いまリキです。兄弟が何人かいる家族では、下になるほどうまいものを食って育ちます。質実剛健にという親の教育方針がだんだんとルーズになるという理由の他に、親の経済状況も次第に良くなるのかもしれません。祖父母が、まだ小学生であった私、妹そしていとこ達を連れて食事に行きました。メニューを見て、いとこの兄貴は必ず一番安い物を注文しました。ところが弟の方は必ず一番高い物を注文しました。祖父が大笑いで「それはワインや」と言っていたのを覚えています。そのレストランでメニューの中で最も高い値段がついていたのはワインだったのです。リキも、今リキが一番おいしい物を食べています。ベースはドッグフードですが、トッピングと称して、いろいろおいしいものを載せてもらっています。人間の食べ物の中には、犬には毒になるものがあるそうで、それらはきれいに取り除いてあります。

 極めつけは朝食です。もともと朝食はサービスですから、多くとる訳ではありません。まず牛乳、誰かが起きてくると同時に、ボールをカランカランと蹴飛ばします。人がコーヒーを入れるより先によこせと言います。一度、牛乳を飲んだのに、違う人が起きてくると、あたかもまだもらっていないと言う顔をしてカランカランを繰り返します。たいていは騙されます。次にトースト、リキ専用の食パンが買ってあります。幸子は「安いのよ」と言っていますが、食べてみると実にフワーとしています。実はリキはフランスパンのような固いパンが嫌いで、ファワーとしたのが好きなようです。固いフランスパンでも食べるのですが、ちらっと人の顔を見て、わざと口の横からこぼしながら、バサバサと食べます。さてフワーとしたトーストですが、トースターでこんがりいい色に仕上がります。チーンと音がするとリキはテーブルの横に正座をします。必ず出てくる事を知っていますから、じっと待っています。熱いうちにバターをたっぷり塗られて、上に脂肪抜きのカテージチーズがもられ、その横に手作りのリンゴジャムが添えてあります。実は、原文ではオレンジママレードと書かれていました。しかし、リキはオレンジママレードは好きではなく、好物はリンゴジャムだと後から知らされ、この文章は修正されました。一方、私の食事は、一応同じものを食べていますが、皿の上にボエと置いてあるだけです。さらに、リキは一口で食べられるサイズにちぎってもらい、ふーふーとさましてから口に運んでもらっています。そのあと、リキはテーブルの上にある果物と人の顔をかわるがわる見ます。鼻はテーブルの上でまっすぐ果物に向かっています。アー、みかんだ、食べたい。よだれがボト。アー、ラフランセ、大好き。たいていは仕留めます。さらに、ヨーグルトのお皿をなめて、リキの朝食はおわります。Rikiin_snow
こうして、野生たっぷりに育てと期待されていたジャーマンシェパードは、すっかりペット生活に甘んじる事になりました。

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